真夏の夜の夢のこと
眠れない夜はここで全て吐き出すのが1番いいと気づいてしまったので今日も今日とて汚物を晒そうと思う。
夏の吹奏楽コンクールのために、地元の悪名高い講師に呼び寄せられた私は帰省真っ只中だ。
帰省すると現世から切り離された気がしていつも焦ってメンがヘラる私だが、今回もちゃんとヘラっている。
本当にだいぶ辛い。
実際呼び寄せられた時は嬉しかった。
やっと私も必要とされる人間になったんだと喜んだ。
ソロがあると聞いてもっと喜んで、きっと私にしか吹けないようなソロだから読んでくれたんだと勝手に浮かれていた。
いやね、行ってみたら全然そんなことないんだよ。
ていうかね、逆に私みたいな頑固な奴に吹けるような指示じゃないのよ。
めちゃくちゃうるせーの、ソロなのに。
「歌うな、もっと小手先で吹け、オーボエが硬い音だから寄せろ、ビブラートは超細かくかけろ」だそうだ。
HA!テメェ口の利き方がなってねぇな!
いいぜ、目の前にお星様飛ばしてやるよ!!
挙げ句の果てに、「俺はな、ビブラートとか音楽的な話には細かいんだよ」だってよ!!
あーいちいちそういうこと言わねぇと夜眠れない性質だろ、永遠に眠らせてやろうかクソジジイ!!
本当ずっとこんな調子なのである。
頭おかしいのか、言ってること無茶苦茶なんだこいつ。
いいかビブラートはな、ビブラートを表現するために音を揺らすんじゃねぇよ、楽譜の音楽を表現するために音を揺らすんだよ。
だから吹奏楽のコンクールでよくあるパフォーマンスみたいなビブラートはまずもって音楽じゃねーんだ。
それは技術点みたいなもんだ、かけられるっていうことをアピールするだけにすぎねぇんだ。
ましてだな、超細かいアホみたいに気持ち悪いビブラートはな、逆に下手に聞こえるし、音程が死ぬし、第1演奏者の心が死ぬんだよ。
あんな気持ち悪い音を怒鳴ってまで出させようとするとか本気で頭大丈夫か?
後な、歌うなやら小手先で吹けやら言うがな、それだと前後のつながりがおかしくなるのお前気づいてねぇだろ?
サラッと吹いて、ハイ次カットですって見せたいんだろうけど、じゃあカットの先の中間部にどうやって入るって言うんだって話だ。
ソロなんだよ!俺のソロなんだ!
てめぇの音楽やりてぇならそれだけのもの見せてみろや、そうでなきゃ自分で吹いてろクソジジイ。
地方の吹奏楽の講師は頭が狂っている。
純真無垢な生徒が慕ってくれるのを勘違いして自分が偉いものだと心の底から信じている。
指揮がどういうものか分かっていない。
指揮は教育者じゃない。
指揮は指揮棒を持った奏者であって、音楽を鳴らすために様々な努力をするのだ。
だから奏者同士、上下関係など全くないはずなのに。
(なんなら奏者の方が指揮を選ぶくらいなのに)
自分が教えてあげているという勘違いがいつまでも覆されることの無いままというのは本当に悲惨な状況だ。
そして吹奏楽で1番やってはいけないこと、音を硬くする、だ。
これには本当に危機感を持っているんだけど、馬鹿な講師は硬い音=よく通ると勘違いしているのか響きを殺したような音を鳴らさせる。
あのなぁ、よく聞いてほしい。
響きを殺した音はな、ホールに行くと遠くまで届かないんだ。
どれだけ大きく吹いても、全然聞こえないなんてよくある。
そらは近鳴りしてしまっている状態だから、多分周りの人には聞こえていると思う。
でも響きがそこで止まってしまって実際の本番のホールではかっすかすになっちゃうんだ。
じゃあどうすればいいか。
超極端で語弊があるかもしれないけれど、音を柔らかくすることだ。
それは楽器の響きを最大限引き出すということ。
楽器の状態やリードやマウスピースなどの具合、それから実際の吹き方など、様々な要素が絡み合っている。
これは一長一短で身につくようなものではなく、レッスンに通ったりするなど毎日の積み重ねでやっと分かってきたかな、なんて、それぐらい難しいものなんだ。
大抵は、でかい音を出すために酷いリードを買い、力むせいでアンブッシュアーがおかしくなる。更には楽器自体の調子が良くなかったり、散々怒鳴られたせいでメンタルが不安定でもう無茶苦茶な音になっている。
かわいそうとしか言えないのが辛い。
悔しいよなぁ、こんな奴になぁ。
明日の朝もう一度書き直そ......